相対参照と絶対参照なんて「いかにもややこしそうな」用語ですね。
ただ、エクセルの関数をコピーするときには、避けては通れない考え方です。
習うより慣れろ。
実例で見てみましょう。
下記の表で「4回目の平均点」のところに関数をコピーして貼り付けるとします。
ここには【 =AVERAGE(D2:D6) 】 が関数として設定されています(赤い線の中)。
これで4回目平均点が自動的に計算されて表示されます。
このときコピーして貼り付けた関数を見てみると【 =AVERAGE(E2:E6) 】となっています。
コピー元とコピー先で関数を比べてみましょう。
セル | 関数 | |
---|---|---|
コピー元 | 3回目平均点(D7セル) | =AVERAGE(D2:D6) |
コピー先 | 4回目平均点(E7セル) | =AVERAGE(E2:E6) |
赤字の部分が違いますね。
『D2:D6』と『E2:E6』は次のような意味になります。
『AVERAGE』は平均を計算せよという意味です。
これにより3回目の列は、3回目の平均を計算せよとなり、4回目の列は4回目の平均を計算せよという意味の関数になるのです。
計算対象とするセルの位置はコピーすると自動的に書き換わってくれるのです。
便利ですね。これがないと、4回目の平均点に3回目の平均点が出てしまいます。
ただ、計算対象とするセルの場所が変わると困るケースもあります。
別の例を見てみます。
【 =C7-B7 】は、C7の数値からB7の数値を引くという意味です(単なる引き算)。
これで前回の平均点との差を表示しています。
この計算式を隣の列にコピーすると、ちゃんと計算対象がズレて【 =C7-B7 】が【 =D7-C7 】となります。これで前回の平均点との差が計算できます。
ただし、1回目の平均点との差を毎回、求めたい場合はどうでしょう?
計算式として設定したいのは、【今回の平均点 - 1回目の平均点】です。
コピーしたときに計算対象【1回目の平均点】がズレてしまったら困ります。
この部分はコピーしてもズレずに、固定させたいですよね。
そこで登場するのが絶対参照という考え方です。
下図をみてください。
計算式が【 =C7-$B7 】となっています。
いままでとの違いは【$】マークがあること。
この【$】をつけたところは、コピーしてもズレずに変わらなくなります。
コピーした結果は【 =D7-$B7 】です。
【C7】は【D7】に変わりましたが、【$B7】は【$B7】のまま。
これが絶対参照というわけです。
【$】がついていないコピーしたときにズレてくれるほうは相対参照といいます。
なお、【$】マークが有効なのは直後の値に対してのみ。
【B7】の【7】もズレてほしくないなら、【$B$7】とします。
(上の例では、コピー先とコピー元で縦の位置が変わっていないので、【$】マークなしの【7】だけでも、ズレずに【7】のままとなっています。)
ちょっと長くなりましたが、いかがでしたでしょうか。
通常は気にせずに相対参照を使っていると思います。
ただし、エクセルに詳しい人が作ったファイルには絶対参照になっている箇所があるモノです。そうしたものを使うことになった場合は注意してみてください。
学校現場でエクセルをどのように活用できるかに絞った先生向けのマニュアル本。クエリ機能やピボット機能を校務にどのように活用できるかを事例をもとに解説しています(第1章)。
第2章の事例編では「PDFへの差し込み印刷」「フラッシュカード作成」「条件付き書式による成績確認」など先生に必須の機能を紹介。第3章テクニック編、第4章 トラブル回避編も学校でのエクセル操作に絞って解説しています。
*本書の対象はエクセルを使ったことがある先生向けです。エクセルを使ったことがない方、初心者の方には前著「先生Excel」をオススメします。(前著)初心者向け⇒先生向けエクセル講座「校務Excel」