テストの点数の平均点や合計を関数を使って計算するときには対象となる値が数値(半角数字)で入力されている必要があります。これが全角数字(文字列)だと計算結果が正しく表示されません。
【例】関数は正しく入力されているが、全角数字(文字列)が含まれている。
→「80」が全角数字のため計算結果が正しく表示されない。
上の表ではB2セルの「80」は半角数字ですが、B3セルの「80」は全角数字です。
フォントによって半角数字と全角数字の見分けがつかないものがあります。
同じようなフォントでも「UD デジタル 教科書体 NK-B」は半角数字と全角数字の識別がしにくく、「UD デジタル 教科書体 N-B」は識別しやすいという違いがあります。
成績入力では半角数値で入力するのが大原則となりますが、何かの間違いで全角数字で入力してしまうことがあるかもしれません。そうすると平均点など計算式の結果が間違ったものになります。
このようなことを避けるために成績入力で使用するフォントは半角数字と全角数字が識別しやすいフォントを使うことが必須です。
実際にフォントを変えて入力してみれば、どのフォントが識別しやすいか判別できます。
提出物などの回数を数えるのに「〇」をつけて計算するときにも注意が必要です。「〇」には漢数字の「〇」と記号の「〇」があり、これが混在してしまうと計算が正しく行われません。
【例】関数は正しく入力されているが、「〇」の数が正しく表示されない。
→漢数字の「〇」と記号の「〇」の混在が原因
漢数字の「〇」と記号の「〇」はフォントでは識別しにくくなっています。
下図では赤枠で囲ったところだけが周りとはちがうのですが、一目で識別するのは困難です。
他のフォントでも、ほとんど見分けがつきません。回避策としては「〇(白丸)」ではなく「◎(二重丸)」をつかうことをオススメします。「◎(二重丸)」であれば、こうしたブレは生じません。
エクセルにはセルに入力されている値(数値、文字)を自動的に音声で読み上げる「セルの読み上げ」機能というものがあります。
これを使うことでエクセルで成績処理を行ったときに、そもそもエクセルに入力した値が正しいのかを確認することができます(紙で採点した点数をエクセルに入力したときなど)。
カンタンな設定て使えるので、その使い方を紹介します。
先に「読み上げ機能」でどんなことができるかを説明します。
この状態のエクセルで「セルの読み上げ機能」を使うと、『アキヤマ、シー、エー、シー、イケダ、ビー、エー、ビー、イシダ…』というように入力されている文字を順番に読み上げて音声で出力します。いかにもコンピューターの音声という感じですが、十分に聞き取れます。
ここの例では、セルを横に(左から右に)読み上げて下の段に移るように説明していますが、設定によりセルを縦に(上から下に)読み上げてから右の列に移るようにすることもできます。
「セルの読み上げ機能」はボタンをクリックするだけで使えるのですが、初期状態では「セルの読み上げ機能」のボタンが表示されていません。まずは、このボタンを表示させます。
画面上部にある「クイックアクセスツールバーのユーザー設定」から「その他のコマンド」を選択。
表示された画面にあるコマンドの選択のヨコの▼から「すべてのコマンド」を選択。
「セルの読み上げ」を選択してから「追加」ボタンをクリック。
コマンドの選択で「すべてのコマンド」を選んでおかないと「セルの読み上げ」は表示されません。
「セルの読み上げ」と同様に「読み上げの停止」「列ごと(セルを1列ずつ読み上げ)」「行ごと(セルを1行ずつ読み上げ)」を追加する。
追加したら画面右下にある「OK」をクリックします。
「列ごと(セルを1列ずつ読み上げ)」などは「セルを1列ずつ表示」のようにエクセルのバージョンによって名称が微妙に異なります。
以上で「セルの読み上げ機能」関連のボタンがクイックアクセスツールバーに追加されます。
クイックアクセスツールバーにボタンが追加されれば、あとはクリックするだけです。
最初に読み上げる方向(左から右に読み上げて下に移るor上方下に読み上げて右に移る)を指定。
クリックしたボタンは色が反転して、設定が有効になっていることがわかります。
読み上げる最初のセルが選択されている状態にして「セルの読み上げ」ボタンをクリックすると、音声読み上げが始まります。読み上げを終了させるには、「読み上げの停止」ボタンをクリックします。
読み上げる範囲はテーブルになっている範囲(つながっている範囲)です。
これまで紙のデータをエクセルで入力するときに入力ミスがないかを確認するために2人で読みあわせを行う…という作業を行っていたなら、この機能を使うことで、ひとりで確認作業を行えます。
成績入力時だけでなく、体育での測定記録や健康診断、歯科検診など「紙→エクセルでデータ化」の際に使える機能ですので、ぜひ活用してみて下さい。
学校現場でエクセルをどのように活用できるかに絞った先生向けのマニュアル本。クエリ機能やピボット機能を校務にどのように活用できるかを事例をもとに解説しています(第1章)。
第2章の事例編では「PDFへの差し込み印刷」「フラッシュカード作成」「条件付き書式による成績確認」など先生に必須の機能を紹介。第3章テクニック編、第4章 トラブル回避編も学校でのエクセル操作に絞って解説しています。
*本書の対象はエクセルを使ったことがある先生向けです。エクセルを使ったことがない方、初心者の方には前著「先生Excel」をオススメします。(前著)初心者向け⇒先生向けエクセル講座「校務Excel」