


新学期のクラス編成や定期テストの成績処理など、新しい児童生徒の名簿を作成する時期。校務支援システムからダウンロードした名簿データをエクセルに貼り付け、「よし、PHONETIC関数でふりがなを出そう!」と思ったのに、なぜか漢字がそのまま表示されてしまう……。
「手打ちで全員分のふりがなを入力するしかないの!?」と、絶望的な気持ちになった経験がある先生も多いのではないでしょうか。
実はこれ、エクセルが壊れているわけでも、関数の入力ミスでもありません。この記事では、「エクセルでふりがなが振られない」原因を解き明かし、数十人から数百人規模の名簿を一瞬で直す裏技や正しい名簿管理のコツを解説します。手作業のイライラをなくして、校務をサクッと終わらせましょう!
そもそも、なぜPHONETIC関数(ふりがなを取り出す関数)を入力しても、漢字がそのまま返ってきてしまうのでしょうか。
エクセルのPHONETIC関数は、漢字そのものを人工知能のように読んでふりがなをつけているわけではありません。私たちがキーボードで「やまだ」と打ち込んでから「山田」に変換した、その「入力時の履歴(IMEのデータ)」を読み取って表示させているのです。
つまり、エクセル上で直接タイピングしていない文字には「入力履歴」が存在しません。
校務支援システムからCSV形式で書き出したデータやWebブラウザ上の名簿をコピーしてエクセルに貼り付けたデータには、この履歴データが欠落しています。そのため、PHONETIC関数を使っても「履歴がないから、そのまま表示するしかない」という状態になってしまうのです。
原因がわかったところで、入力履歴が消えてしまったデータに「ふりがな情報を復活させる」ための具体的な手順を3つ紹介します。名簿の人数に合わせて使い分けてください。
転入生など、数人分のデータだけを直したい時に便利な小技です。
対象のセルを選択してキーボードの「F2」キー(セルを編集状態にする)を押し、そのまま何もいじらずに「Enter」キーを押します。これだけで、エクセルが「今、入力された文字だ」と再認識し、標準的な読み方でふりがな情報を付与してくれます。
1クラス分(30〜40人程度)の名簿を一気に直したい場合は、以下の手順が最速です。
これで選択したセルすべてに強制的にふりがな情報が割り当てられ、隣のセルに入力したPHONETIC関数も正常に機能するようになります。
学年全体(数百人規模)の名簿を扱う場合、上記の方法でもパソコンが重くなったり、処理に時間がかかったりすることがあります。そんな時は、マクロ(VBA)を使って1秒で解決しましょう。システムエンジニア的なアプローチですが、コードをコピペするだけなので非常に簡単です。
たったこれだけで、選択した数百人分のセルに一瞬でふりがなデータが付与されます。
上記の方法でふりがなを復活させると、エクセルは「一般的な読み方」を自動で割り当てます。
しかし、実際の児童生徒の読み方とは異なるケースが多々あります。
例えば「角田」さんを「かくだ」と読んでほしいのに、「つのだ」と自動で振られてしまった場合。
氏名のセルを選択した状態で、ショートカットキー「Shift + Alt + 上矢印」(またはリボンの「ふりがなの編集」)を押します。すると、セル上のふりがな部分にカーソルが合い、直接タイピングして修正できるようになります。修正後、PHONETIC関数の結果も自動的に書き換わります。
昨今は、漢字の一般的な読み方とは全く異なる特殊な読み方をする児童生徒も増えています。
そうした氏名は、エクセルに自動でふりがなを振らせると高確率で間違えてしまいます。
特殊な読み方の生徒は、名簿を受け取った最初の段階でマーカーで色をつけておき、自動変換をかけた後に目視で必ず個別修正を行うフローを組むことが、大きなミスを防ぐ鉄則です。
ふりがなトラブルは、システム間でのデータのやり取りが原因です。
毎回の修正作業をなくし、校務を本質的に効率化するための運用ルールをご紹介します。
名簿管理の基本は、PHONETIC関数に頼りきらないことです。
新学期に作成する「学年マスター名簿」では、A列に「氏名」、B列に「ふりがな」と、完全に独立した文字列データとして入力(確定)させておきましょう。ふりがなの列を関数のままにしておくと、別のファイルにコピーした際にまた表示されなくなるトラブルが起きます。「値として貼り付け」を行い、ただの文字データにしておくのが安全です。
「私が作った名簿なら大丈夫だけど、他の先生に渡したらふりがなが消えた」という事態を防ぐためにも、入力用シートと出力用(印刷・システム取り込み用)シートを分けた、堅牢なエクセルテンプレートを作ることが重要です。属人化しないフォーマットを学年団で共有することで、名簿作成という多大なエネルギーを使う業務を、圧倒的に効率化することができます。
「エクセルでふりがなが振られない」原因は、データに入力履歴がないためです。
以下の方法で簡単に対処できます。
これらの裏技を駆使して、面倒なふりがな修正を一瞬で終わらせましょう。空いた時間は、学級開きの準備や教材研究など、先生にしかできない大切な業務に使ってください!

学校現場でエクセルをどのように活用できるかに絞った先生向けのマニュアル本。クエリ機能やピボット機能を校務にどのように活用できるかを事例をもとに解説しています(第1章)。
第2章の事例編では「PDFへの差し込み印刷」「フラッシュカード作成」「条件付き書式による成績確認」など先生に必須の機能を紹介。第3章テクニック編、第4章 トラブル回避編も学校でのエクセル操作に絞って解説しています。
*本書の対象はエクセルを使ったことがある先生向けです。エクセルを使ったことがない方、初心者の方には前著「先生Excel」をオススメします。(前著)初心者向け⇒先生向けエクセル講座「校務Excel」